譜面創作講座

随時更新します。(最終更新 2016/11/09)

私が長い間太鼓さん次郎で譜面を作ってきた経験を具体的にまとめました。

基本的に「より譜面評価大会で上位に行くこと」を目標としています。
なので「俺には俺のやり方がある」とか「大会で勝ち上がらないでもよい」という人にはあまり意味のないことが多々あると思われます。
その辺を踏まえた上で、皆様の参考になれば幸いです。


【選曲】
まずここに命をかけましょう。譜面の出来の半分は選曲にかかっているといっても過言ではありません。ここに時間をかけるのは譜面創作の本質じゃない!という人がいそうですが、書道家は皆、筆を選ぶものです。
選曲に正解はありませんので基本的に何でもOKだと思いますが、持論としては、

BPMはあまり遅くない方がいいと思います。今まで優勝した譜面は、どうもBPMが速い傾向があると思います。
 勿論例外はありますので臨機応変に。私は遅い譜面があってもいいと思います。

曲の長さは1:40~2:30ぐらいがいいと思います。短すぎても長すぎても譜面のバランスに影響を与えます。個人的には2:10あたりがベストです。BPMにもよりますし、コンボ数や密度などの兼ね合いも考えてください。
 2016年ぐらいからは、展開のさせ方によっては2:40ぐらいの曲でも認められる傾向があるように思います。もっとも、展開を自然のうちにつけたいとなると、やはり前述のような長さがいいような気もしますが。

変化に富んだ曲を。ボーカル、インストは問いませんが、個人的は曲に全てがかかっているインストを推します。
 ボーカル合わせも大事ですが、やはりドラムや楽器に合わせるほうが、譜面の「音楽」としての完成度が高いような気がします。また、ボーカルは曲構成が似ているものがかなり多く(特にアニメソングなどはそうですが)、垢抜けない印象を与えかねません。
 もっとも、ボーカル曲で優勝した例も当然存在しますので、あまり気にするべきではないのかもしれません。

自分の得意な作曲者やジャンルで。必ずしも「みんなが作りやすい曲」が「自分が良譜面を作れる曲」ではありません。
 音ゲーのコンポーザーでもいいでしょう。ジャンルならハードコア、エレクトロ、電波、ジャズフュージョン…いくらでもあります。
 自分が作ってきた譜面の曲で、自分が作りやすい曲の傾向をつかめばいいと思います。
 そのためにも、まずは色々なジャンルの曲で、たくさん譜面を作ることが望ましいですね。ゲームの特質上、まずは音ゲーの曲で作るのがいいかなと思います。(または音ゲー向きの曲)
 自分だけのアーティスト!みたいなのがあると楽しくなると思います笑

⑤単純に皆に人気が出る曲を使うのは間違いなく有利です。譜面評価をする人は、おそらくですが、意識しないうちにこれを評価していることが多々あります。
 ある程度経験を積んだ人はこうなりにくいですが、いずれにせよ、曲がかっこよければ譜面もかっこよくなることはしばしばあります。
 個人的には、こういう勝ち方は好みませんが、戦略の一つだとは思います。


【難易度】
難易度は簡単すぎず、難しすぎず。勝つことを考えると☆9、10が望ましいでしょう。☆8ならば「綺麗さ」を重視するとgoodです。
☆7以下だと、そこそこ太鼓さん次郎をやっている人には物足りない可能性が高いですし、譜面自体の内容も薄くなってしまいます
また難しい譜面としては、「ある程度の人がフルコンボできる」という基準で考えればいいと思います。
フルコンできない譜面はその時点で優勝は出来ないと言っても過言ではないでしょう。

いずれにせよ、「やってて楽しい難易度」の譜面を作るのが大事だと思います。


【譜面創作】
さて本題です。
まず全ての譜面についていえることですが、

・オートで聴いて違和感がない
 これは「ひたすら曲に合わせる」という意味ではありません。曲に合わせなくても綺麗に聞こえる場合はいくらでもあります。
 オートで流して違和感がないなと感じれば、それだけでもある程度の順位に滑り込めるはずです。
 逆に、オートで違和感があるというのは、音取りやリズムが間違っている証拠です。(勿論、シンセや太鼓音の関係上、しっかり音をとっていてもしっくりこないことはあります。そういうときこそ創作力の見せ所ですね。)
 最も、オートではそれほど合ってないが面白い…という例もありますが、そういう逆手に取ったテクニックはまず基本が出来ていなければ意味がありません。個人的には、上位に行けば行くほど、こういう例も増えますが、当然、音合わせ等が出来ないようでは、上位に食い込むのは難しいです。
 しかも、音合わせに関しては、出来る出来ないの問題ではなく、やるかやらないかなのです。その選択は難しいところですが、そこは自分流のバランスを見つけてください。

・緩急をつける
 たとえば、ずっと「12121212,」が続く譜面はあまりいい譜面とは言えませんよね。飽きないように曲のパートごとで密度を上げ下げすることが大事です。
 一般的にはゴーゴータイムに密度を上げて、休憩地帯で密度を下げてやると綺麗になると思います。
 演出やテクニックの一環として休憩地帯でゴーゴーを入れる人もいますが、それは自由だと思います。あまり点数には関係ないような気がしますが、案外表現や印象に差が出てきます。

・譜面全体のまとまりやバランスを考える
 譜面全体の構成としておかしくないか、ということです。緩急が付きすぎていて良くない、難易度に差があり過ぎる、なんかごちゃごちゃして忙しい、など極端な例を挙げればきりがありません。
 必ずしもオートが綺麗で、緩急が付いていても、適度に譜面が作られてなければ全く意味がないということです。
 統一感を持たせることも重要ですね。


ここからは、曲の部分部分のパターンについて分けて書きます。
曲でも様々な部分があると思うので、普遍的に通用するようにします。

①4拍子で、スネアやキックが目立つ場合(ジャンル:ロック、アニソン、ドラムンベースなど)
 
[A]「10201021,」や、「10200120,」を意識しつつ、それが崩れる部分(または意図的に崩す部分)を意識する
  譜面の根本になる配置ですが、これに肉付けをしていくだけでもかなりマシな譜面が出来上がります。つまり大事なこととしては、
  《目立つ音をしっかりと取り、後は肉付けで変化をつけていく》ということです。これは色々な譜面において通じる、非常に大切なことだと思います。

[B]こういった曲は4小節ごとにまとまっているので、そこで[ABAB']や[ABA'B']というような配置を中心にする
  たとえば、
  「10201021, 1000201210102000, 10201021, 1000201211202010,」や、
  「10201021, 0010201120102000, 10201121,  0010201122102022,」という配置です。
  上を[ABAB']型とし、[ABA'B']型とします。これらはあくまで「型」あり、さまざまにあると思いますが、
  このような配置をするだけでもなんとなくまとまりが出ると思いませんか?
  あくまで一例であるので、どんな曲にもこの配置が通用するわけではありませんが、このような「まとまり」は、譜面を部分部分でみたときにかなり印象を良くします。
  自分流のパターンやスタイルを見つけて、曲ごとにうまく配置すると、非常にグルーヴ感のある仕上がりになります

②4つ打ちの場合(ジャンル:トランス、ハードコア、電波曲、エレクトロなど)

[C]「1111,」や「1212,」を意識!
  これがほぼ全てです。これに肉付け(これらが目立つように他のノーツをつける)するだけでかなり良譜面になります。
  
[D]地味にならないように注意
  4つ打ち曲の場合、綺麗さなどが重視されてしまうことが多く(理由は[C]を意識しすぎるため)地味になってしまいがちです。
  ①の[B]ほどまとまりを意識しないでいいので([C]によってまとまりがそもそも生まれやすい)、少し変化に富ませるように意識しましょう。

③ギター、ピアノ、シンセサイザー等、メロディーが目立つ場合(ジャンル:エレクトロ、ジャズフュージョンなど)
 
[E]まとまりを意識しつつ、自由に配置する
  こういう曲を作るときに一番壊れてしまいがちなのは「まとまり」です。自由に配置できる分、まとまりを失いやすいです。
  楽器に合わせるのも良いですが、適度にドラムにも合わせ、曲全体としてこざっぱりとさせる方が印象はいいです。
  創作が難しいジャンルですが、うまく作れた時にはとてもやりがいのあるいい譜面になります

[F]合わせすぎない
  太鼓は打楽器です。よってどの楽器にあわせるにしても、あわせすぎず、ドラムを意識することが大切です。
   ドラムだけではないですが、要は「太鼓的な配置」をするべきだ、ということです。
   たとえば、ピアノだけに合わせた譜面は非常に太鼓らしくないものになってしまいます。
  特に音階にあわせるのは危険行為です。雰囲気で、それっぽくあわせましょう。リズムさえあっていれば大体OKです。

[G]楽器のソロは極力暴れさせる
  譜面を最も輝かせる部分である「発狂部分」は、必ずしも難しい必要はありませんが、「目立たせる必要」はあります。
  なので、ドラムを疎かにしない程度に、楽器を極力前面に押し出した配置にするといいです。ギターソロなんか最高ですよね。
  ただし無理な配置はしないように。フルコン難にしたり、盛り上がって叩けるというのが望ましいです。
  また、この部分にSCROLLを掛けたりするのも良く使われるテクニックですね。

④ベース音やドラムなどが目立つ場合(ジャンル:ドラムンベース、ダブステップ(ドラムステップ)、プログレロックなど)

[H]割と何でもあり
  音にあわせればこれらは大体上手くいきます。何せ曲のベースにあわせてますから。
  なので、これらの曲は強い場合が多いです。

[I]ごちゃごちゃになり過ぎないように
  ワブルベースなどは24分や32分間隔のものが多く、譜面として忙しくなりがちです。
  適度に緩急をつけてやらないとごちゃごちゃして全体として忙しい譜面になってしまうので注意しましょう。


【テクニックについて】
 
・ソフラン(ここではBPM変化がないときの#SCROLL)
 ソフランは上手く使えばかなり好印象なものとなります。ソフランを使うにあたって、

 1、曲の雰囲気を重視すること(無闇にソフランは使うなということです)
 2、速すぎない、遅すぎない(ただし局所的なものに関しては例外としてありだと思います)
 3、段々変化させる場合を除いては、キリのいい数字を使う(#SCROLL 1.333333や1.5や2など。印象に大きく関わります)

 これらを守れば、大体ソフランとしては成功すると思います。
 注意しなければならないのは、「不必要なときにSCROLLを使ってしまう」ということです。不必要なのにもかかわらず、好みでソフランを使ってしまうと逆に印象が悪くなってしまいます。
 また、人によって好みが分かれやすいものですので、乱用するのもあまり良くないというのが私の経験則です。
 要は諸刃の剣ということですね。使う部分をしっかり見極めることが大事です。

・変拍子だったりBPM変化が多数存在する曲
 大いにその曲の特性を利用しましょう。変拍子に関してはかなりの場合、それだけで変化がつきやすく武器になりやすいです。
 BPM変化が多く存在する曲は、なるべく初見プレイでも出来るような親切設計が好ましい。初見の印象はかなり大事です。

・「頭抜き」の配置、「XX,0XX」配置
 乱用は禁忌です。適度に使っていきましょう。またオートで流してあまりに違和感がある場合もNGです。
 あくまでパターンを崩す「上級技」ですので、パターンに組み込みすぎるのはくどくなってしまう、ということは忘れないようにしましょう。

・ギミック
 入れるならば、人間に対応できるものにしましょう。また、綺麗だったりかっこよかったり、そういう要素を入れてください。
 (余談ですが、ギミックによって点数を上げたり下げたりする人は少ないと思います。無難に入れすぎないのがいいと思いますね。)


【その他】

・自分よがりな譜面にならない
 自分の観点が全てだと思うのは危険です。評価するのは他者です。
 「見られる」ことまで気が回れば、無理な配置などは自然となくなると思います。

・点数やOFFSET、DEMOSTART、曲の音質など、なるべく譜面としての体裁を整える
 美術館に飾ってある作品は必ず額縁やケースに収められており、その外観全てが美しく整えられています。
 やはり第一印象を上げることとして、「その譜面に関するものは全て丁寧に整えておく」ことも、ある意味重要だと思います。
 その証拠として、音質が汚い譜面はあまりいい譜面でないことが多いです。
 太鼓さん次郎の譜面は遊びですが、「作品」だとも私は思います。そこまで配慮して初めて一流かなという風に考えています。

・流行に乗ってみるのもアリ?
 私が思っているだけかもしれませんが、少なからず大会には流行りがあります。
 ある傾向が多すぎて、これどうなの?みたいな大会も1、2回あったような気がします。
 それに媚びに媚びてみるのもありだと思います。昔は全然見向きもされなかったものが、今だと強かったりするかもしれません。
 もちろん何が流行なのかを押さえておく必要がありますね。特に優勝した譜面や優勝ではないが高順位かつ目立った譜面などは流行のきっかけになりやすいのかもしれません。

8 件のコメント:

  1. 『「作品」だと私は思います』その通りですね。ここまで長い文章でしたが、全て学びながら読むことができました。この「譜面創作講座」を参考にしながらこれからの譜面製作に活かしていきたいと思います(`・ω・´)b

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    1. コメントありがとうございます!

      自己満で書いた記事ですが参考にしていただけるのは本当嬉しいですね~

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  2. アリアさんの譜面に憧れて譜面制作を始めて早4年ほどが経ちましたが、未だ追いつけた気がしないのはこういったことへの意識の差なのでしょうか・・・。今度主催される第三回創作譜面大会には参加する予定でいますので、是非お手合わせお願いします!

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    1. 憧れてなんてそんな、、、自分もまだまだ未熟です。
      少しだけ色々と意識するだけでもかなり変わってくるというのが持論ですね。

      おー嬉しいです、参加お待ちしてます!

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  3. 動画の方もブログの方もこまめに見させてもらってます~譜面創作講座すごく参考になります
    大学生ということで色々大変でしょうがこれからも頑張ってください~

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    1. 動画ブログ見ていただいてるとは!
      譜面創作講座、参考にしていただけると嬉しいですね。

      ありがとうございます、できる範囲で頑張ります><

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  4. 大会やチャットで度々名前を見かけていたので気になり調べて、ブログを見つけたので今回この記事を読ませていただきました。

    自分が大会でいただいた感想などと照らし合わせると、自分の譜面が大変未熟で、見直さなければならない点がたくさん見つかりました。

    『人に譜面を見てもらう』というところが、一番自分に欠けていたなとこの記事を通して反省できました。

    自己満足で終わらずに、人が譜面を見て「あっ、こういう譜面がプレイしたいな」と思ってもらえるような譜面を作成していきたいと思えるとてもためになる記事でした。

    アリアさんも色々忙しいかと思われますが、これからも頑張ってください。応援しています。また、チャットであったときはよろしくお願いしますm(_ _)m

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    1. こんばんは、コメントありがとうございます!

      自分もこの記事に関しては未熟な部分が多く、まだまだ不完全ですけども少しでも参考にしていただければと思います。

      お互い切磋琢磨していきましょう!これからもよろしくお願いします!

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